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東京で開催されるラ・フォル・ジュルネは、1850年から今日まで、すなわちジョルジュ・ビゼーからピエール・ブレーズまでの、フランス音楽とスペイン音楽をご紹介いたします。とりわけ、フランス音楽の黄金時代といわれている1870年代から1940年までの音楽を中心にプログラムを構成しています。

アルカン(今年200周年を迎える)と共にロマン派の最後の灯が消え、ビゼーが「カルメン」でフランスオペラを刷新したその頃、カミーユ・サン=サーンスセザール・フランク、スコラ・カントルームの創設者であるヴァンサン・ダンディ、そして彼らと同じ系譜のシャブリエフォレデュパルクショソンガブリエル・ピエルネシャルル・ケシュリンアルベール・ルセルらは、作曲法の面でも歌唱や旋律の面でも、フランス音楽の刷新の原動力となります。

色彩感覚と不協和音を基に、メロディラインを極限まで削ぎ落とし、形を滑らかにした、微妙にして繊細なこの新しい音楽は、世紀の変わり目において最も革新的な二人の作曲家、すなわちクロード・ドゥビュシーモリース・ラヴェルが活躍する道を開きました。

ドゥビュシーとラヴェルの時代はまた、レナルド・アーンポール・デュカスの時代でもありますが、画家や詩人など名立たる芸術家が「光の都」と呼ばれたパリにおいて互いに知己を得て交流を重ねる時代でもありました。音楽家としてはパリに留学していたアルベニスマヌエル・デ・ファラグラナドスなどの作曲家が、逆にフランスの音楽家に深い影響を与えました。

やがて「狂乱の時代」の到来とアメリカからやってきたジャズの出現により、フランス音楽の風景が一変します。エリック・サティや、かの有名な六人組―ダリウス・ミローとフランシス・プランクも属していた―のメンバーたちが、ジャン・コクトーに導かれながら、庶民的な発想や奇抜な発想でフランスの楽壇を賑わせました。

アンサンブル・アンテルコンタンポラン

続いて1930年代の終わりに、ヒューマニスト的な芸術観を共有する、オリヴィエ・メシアンを含む4人の音楽家によって誕生し、短命に終わったグループ「ジューヌ・フランス」が、フランス音楽の活発な創作力を証明して見せた。捕虜時代に書かれた有名な「時の終わりのための四重奏曲」の作者であるメシアンは、パリ・コンセルヴァトワール音楽学校の教師となり、ピエール・ブレーズをはじめとする次の世代の作曲家たちに長期的な影響を与えます。ブレーズはアンリ・デュティユーと共に、20世紀を通してフランスの音楽的アイデンティティを創り上げたこれらの作曲家の系譜に連なり、彼らの作品の数々が今回、華々しく演奏されます。

この三日間を通じて、パリとマドリッドと同じ時間が東京に流れます。また、金沢と琵琶湖でも同じテーマでラ・フォル・ジュルネが開催されます。

 

ルネ・マルタン

 

ラ・フォル・ジュルネ

アーティスティック・ディレクター

ルネ・マルタン

(訳:リグ・キタカミ)

 

 

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