『ラストマン』の作家トリオ、バラック、バスティアン・ヴィヴェス、ミカエル・サンラヴィルと、日本在住のアニメーター、トマ・ロランとエディ・メホング、5人のクリエーターによる対談です。

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Lastman, réalisé par Jérémie Perrin © Everybody On Deck, France Télévision

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2012年、バスティアン・ヴィヴェスは、友人のバラックとミカエル・サランヴィルと共にパリにアトリエを設けました。フランスのバンド・デシネのみではなく、日本の漫画、さらにはアニメ映画やビデオゲームにも影響を受けた人は、『ラストマン』を生み出しました。
バンド・デシネのスタイルと日本の漫画の技法を巧みにミックスし、アクションと冒険、ユーモアを掛け合わせた初めての「少年漫画」がフランスで生まれたのです。現在、8巻まで発売されているシリーズはフランスで大きな注目を集め、2015年のアングレーム国際漫画祭においては最優秀シリーズ作品に授与されるフォーヴ賞を受賞しています。この年の同漫画祭では、『LASTMAN(ラストマン)の世界』と称して、同作品の世界を展示、作品に纏わるビデオゲームやアニメーション作品も紹介されました。

 

バラック、ヴィヴェス、サンラヴィルの三人は共に、アニメーション作家育成の名門、ゴブラン映像学校の出身です。ゴブラン映像学校は、フランスのクリエイティブ産業において、映像のデザインから制作にいたるまで、優秀なプロ映像クリエーターを数多く輩出している専門教育機関です。今回、『ラストマン』の作家トリオと対談するのは、同じくゴブラン映像学校出身で日本を拠点に活動し、在日フランス人アニメーターのプロフェッショナルネットワーク 《Furansujin connection》 を立ち上げたメンバー、トマ・ロマンとエディ・メホング。ゴブラン映像学校に学んだ後、異なる道を歩み、成功を収めた卒業生たちが、それぞれの経験について語ります。

対談の後は、『ラストマン』をも とに作られたゲーム『ラストファイト』のサウンドトラックを作曲した、2080のミニライブをお楽しみください。

 

 

Balak, Bastien Vivès et Michaël Sanlaville© Mathieu Zazzo

Balak, Bastien Vivès et Michaël Sanlaville © Zazzo

バスティアン・ヴィヴェス

若干32歳にして、フランス・ベルギーのバンド・デシネ、日本の漫画、アニメとビデオゲームを掛け合わせる世代の作家たちの先頭を切っています。初の作品を2006年に発表、2009年のアングレーム国際漫画祭での新人賞、2012年の文化庁メディア芸術祭での新人賞授賞作品、『塩素の味』(小学館集英社プロダクション)で自身のスタイルを確立します。シンプルな線で描きつつも魅力をふんだんに備え、新鮮な色を使うのが彼特有のスタイルで、伝統的なバンド・デシネのデッサンから一線を画しています。また、2012年には『ポリーナ』(小学館集英社プロダクション)でバンド・デシネ評論家協会より、ACBD(漫画批評家&ジャーナリスト協会)大賞を受賞。

 

バラック

37歳のバラックも同世代のゴブラン映像学校出身作家の一人で、アジアのアニメや漫画を見て育ちました。アニメ制作会社でストーリーボードの製作者
として活躍し、「ターボ・メディア」という概念を広げながらスクリーン上での漫画に関する考察を展開しています。テレビ会社カナル・プリュスで、ショートアニメシリーズ『レ・カソスLes Kassos 』(“社会不適合者”の意)の制作に携わる一方、バンド・デシネのストーリーボードも描いています。

 

ミカエル・サンラヴィル

ゴブラン映像学校でアニメーションを学んだ後、バスティアン・ヴィヴェスとの共作、『Hollywood Jan / ハリウッド・ジャン 』でBD作家としてデビューしたミカエル・サンラヴィルは、特にアメリカのポピュラー映画や、『北斗の拳 』などの漫画に強い影響を受けています。また彼は、2007年に開始されたカステルマン社の革新的なシリーズ、KSTRの主要作家となっています。その躍動感あふれる画風は、『Rocher Rouge / 赤い岩』 (未邦訳) や『Le Fléau Vert / 緑の災害』 (未邦訳) といったホラー作品でとくに見事な効果を発揮しており、『ラストマン』においても、作品により迫力を与え、日本の少年漫画のような異色の魅力をもたらしています。

 

 

トマ・ロマン

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Thomas Romain © DR

1977年、ブザンソン生まれ。1998年~2001年までゴブラン映像学校に学ぶ。在学中、講演や対談等に参加するうちに、「日本で働く」ということが「漠然とした夢」から「実現可能な目標」に変化し、日本語を学び始める。卒業後、フランスのアニメーション・シリーズ『Code Lyoko(CODE リョーコ)』の制作に携わる。

2003年、活動と生活の拠点を東京に移し、日仏合作のアニメシリーズ『オーバン・スターレーサーズ』を制作。2007年、マルチクリエーターの河森正治と出会い、アニメ制作会社「サテライト」に所属する。河森と共に手掛けた『バスカッシュ!(BASQUASH!)』は、ロマンのオリジナル企画で、外国人による企画が日本でアニメ化されたのはこの作品が初めて。以降も数々のアニメ作品の制作に携わり、『アクエリオンEVOL』や『マクロスΔ』のコンセプトデザイン、『スペース☆ダンディ』のメインメカデザイン等を手掛ける。

2016年、アニメーターのプロフェッショナルネットワーク 《Furansujin connection》 を立ち上げ、スーパーバイザーとなる。在日フランス人アニメーターや、日本で活躍したいと願うフランスの若きアニメーターたちに向け、情報やアドバイスを提供している。

 

 

エディ・メホング

 

Eddie Mehong

Eddie Mehong © DR

ゴブラン映像学校を2001年に卒業した後、フランスの映像制作会社「Marathon Média」にてテレビアニメシリーズ『Martin Mystère』と『Team Galaxy(チーム・ギャラクシー)』の制作に携わり、主要な登場人物のキャラクターデザインを手掛ける。その他、人気アニメシリーズ『トータリー・スパイズ!(Totally Spies!)』の劇場版制作にもスーパーバイザーとして参加。また、フリーランスとして、「Neomis Animation」「Antefilms Production」(現MoonScoop)や「Ankama」など、複数の制作会社とコラボレーションしている。

2003年、日本のアニメーション技術を習得するために来日。宮崎駿らと共に日本アニメの創成期から第一線で活躍する大塚 康生が顧問を務める、「テレコム・アニメーションフィルム」社にて経験を得る。2007年に再び来日し、アニメ制作会社「サテライト」にて『マクロスF(フロンティア)』などの制作に携わる。

2008年には「Ankama(アンカマ)」グループの日本スタジオ設立に携わり、国外市場向けプログラムの展開に協力。2012年からは、フリーランスとして多数のアニメーション制作に携わる。

現在は、日仏の友人らと共に立ち上げたアニメーション・スタジオ「Yapiko animation」にて、世界の市場に向けた日本のアニメーションの制作と展開に力を注いでいる。

 

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  • 2016-10-22 - 2016-10-22
  • 17:00 - 19:00
  • 入場無料 / 予約不要
  • アンスティチュ・フランセ東京(03-5206-2500)
  • フランス語 / 日本語 (同時通訳付)
  • アンスティチュ・フランセ東京 エスパス・イマージュ
    〒 162-8415
    15 新宿区市谷船河原町 東京都

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