オランド大統領がアンスティチュ・フランセ東京に!

アンスティチュ・フランセ東京を訪れ、若者に話しかけるオランド大統領

2013年6月8日(土)、国賓として来日したフランソワ・オランド大統領が、アンスティチュ・フランセ東京を訪れました。
以下はその際のスピーチです。

ご来場のみなさん

ここ、アンスティチュ・フランセにおいて、みなさんに会うことができて嬉しい限りです。大変な人気を博しているこのアンスティチュを、改築し拡張するために、非常に大きな投資を必要とする計画について知らされましたが、アンスティチュ・フランセ東京の将来を注意深く見守っている外務大臣と文化大臣も一緒です。間違っていたらロラン・ファビウス外務大臣に指摘して欲しいのですが、大使に伺ったところによると、アンスティチュ・フランセ東京は、最も来館者が多い施設だそうです。来てみて理由がわかりました。ここには美食レストランがあるのです。どの文化施設にあるとは限りません。ここ日本では、ガストロノミー(美食)は文化だということです。

我々の招待に応じて来てくれたすべての若者たち、共に勉学に励んでいる日本人とフランス人の若者たちに、敬意を表します。高校に通っている人もいれば、大学に通っている人もいるし、研究をしている人もいるでしょう。我々の目標は、安倍総理大臣とも合意しましたが、大学交流や科学交流、文化交流を増やし、フランスに留学する日本人と日本に留学するフランス人の数を倍増させることです。我々は、明日の日本、明日のフランスを担う人々のことをよりよく知ることで、パートナーシップを深めることができるのだと考えます。

今回の訪日は、極めて特別な訪問となりました。それはまず、公式訪問だったからです。私とヴァレリーは、天皇皇后両陛下の歓迎を受けました。それは訪問のハイライトでした。次に、日仏関係をすべての分野において最上級のレベルに持っていくための素晴らしい協定をフランス政府と日本政府が署名したからです。政治の分野でも、経済の分野でも ―― 我々はさきほど、新しい市場を獲得するための提携を結んだ企業経営者たちと一緒にいました ――、科学や文化の分野でも。今回の公式訪問は、日仏関係の歴史の節目として刻まれるでしょう。

一方で、私はみなさんと懇親会を持つことを特に望みました。みなさんから、期待や、もしあれば不安、そして希望を聞くために。我々はいま、将来がどうなるかについて、みんなが疑問を持っている時代にいます。さきほど財界の方々を前にして述べましたが、我々は、長い間、文化の面でも経済の面でも、世界に先んじていました。そして、新興国が現れました。そこで、いくつかの疑問が生れました。まだ我々の居場所はあるのだろうか。それはどのような地位なのか。まだ我々の価値観や信条、理想を掲げることができるのだろうか。もっとも不安を抱いているのは若者ですが、同時に、我々の運命が、我々の決めた通りのものになるかどうかは、若者たちに懸かっているのです。

文化、経済、大学、交流について、質問を受けると言われました。すでに述べましたが、留学など人の移動を簡易化してるところです。これは色々なところで述べています。我々は、外務大臣と内務大臣とともに、ヴィザを簡略化しました。フランスに行って学んだり習ったりしたいというすべての人たちが支障無しにフランスに行けるようにしているのです。

我々はまた、観光の面でも大きな目標があります。我々はより多くの日本人にフランスを知って欲しいと思います。反対に、私をはじめとする多くのフランス人が、あなたがたの国の美しさを、公式なレセプション・パーティを超えて、発見することができるようにしたいと思います。

我々は、大学交流の面でも、簡易化に努めました。高等教育研究大臣が提出した法案をきっかけに、日本などからフランスに留学しに来た学生のために、英語の授業が行なわれるべきかどうかについて、フランスで大きな議論が巻き起こりました。我々はフランス語に対して大きな愛着があります。お聞きいただいている通り、私自身、フランス語しか話しません。しかし同時に、我々はフランス語について寛大です。誰かが我々の前で英語で喋ったからといって、英語なんて聞きたくもないといって即座にしかめっ面をするわけではありません。留学生を呼び込むためには、留学生にフランス語を喋ってもらうためには ―― それがそもそもの目的ですが ――、我々の文化を知ってもらうためには、我々と研究を共有してもらうためには、最初のうちは、最初のうちだけは、英語で話しかけたほうがいいわけです。そして数時間後には、数時間で充分ということですので、フランス語で話し始めればいいのです。これが私の伝えたかったことです。勉強しに来てください。歓迎します。研究しに来てください。フランスが得意とする科学分野があります。教養を培いに来てください。我々フランス人も、日本に行きます。文化がフランスと日本を結んでいるのですから。さきほど、東京で最も高いビル、六本木ヒルズ森タワーにいましたが、愛というテーマの素晴らしい展覧会を拝見しました。フランスと日本の作品がありました。昨日はまた別の美術館に行きました。日本とフランスにとって、文化とは国と国を結ぶ、個人と個人を結ぶ、世代と世代を結ぶものであり、精神を高揚させるものであり、限界や境界を超越するものであります。我々は文化と経済を分けて考えません。ここに文化産業の命運が懸かってます。同時に、我々は文化が他の商品とは異なることを知っています。これを文化の例外と呼んでいます。

そして文化があるためには、場がなければなりません。大使に咎められてしまうので最初の話に戻ります。フランスに留学しに来てくださいと申し上げましたが、もう一つお伝えします。このアンスティチュを可能な限り改築しなければなりません。ファビウス外務大臣は予算を組みましたが、それがどれほど凄いことなのかというと、予算がないにもかかわらず、捻出することができたのです。フランスが、このアンスティチュと日本のために特別な投資をするということを示せたのは良かったと思います。その上で、企業や個人――若者はいかなる拠出も免除しますが――の方々にも貢献して欲しいと願っています。この施設の改築は、大きな出資を募るだけの価値があると信じています。我々の目の前にいる若者たちが待ち望んでいるのです。

ありがとうございました。

(訳:リグ・キタカミ)