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『ラ・シオタ駅への列車の到着』
(1897年/フランス/45秒/モノクロ/サイレント/デジタル・ベータカム)
撮影:ルイ・リュミエール
出演:ジャンヌ=ジョゼフィン・リュミエール、ローズ・リュミエール、マルグリット・リュミエール、アンドレ・リュミエール、ジュザンヌ・リュミエール

 

海にほど近いフランス南部の小さな町で撮影された、映画の誕生を刻印する作品。地中海が文明の源泉であるというシンボリックな側面は『ラ・シオタ駅への列車の到着』と映画との関係に重ね合わせることができるだろう。リュミエール家がラ・シオラに邸宅を持っていたことから、この駅が撮影に選ばれたものと思われる。才能溢れるキャメラマンだったルイ・リュミエールが列車に対して対角線状にキャメラを置いたことによって、到着する列車のスペクタクル的な側面が強調される。

 

© MAN RAY TRUST / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2013 D0282

 

『サイコロ城の秘密』
(1929年/フランス/26分/モノクロ/日本語字幕付/デジタル・ベータカム)
監督:マン・レイ
出演:シャルル・ドゥ・ノアイユ、マリ=ロール・ドゥ・ノアイユ、ジャック=アンドレ・ボワファール、マン・レイ

 

パリを出たふたりの旅行者が、長い旅の果てにある現代的な城に辿り着く。そこでふたりはその城の秘密を知ろうとする。表情を隠した不可思議な登場人物は、この作品の出費者であるノアイユ子爵夫妻の親しい友人たちが演じている。開放的な別荘の驚くべき建築--マレ=ステヴァン設計による--、この映画の光、その雰囲気、そこから漂ってくる軽やかさは、海岸の香りを醸し出している。

「大きなサイコロと小さなサイコロを1組ずつ、そして絹のストッキングが6組、私はそれらをこの作品のすべての登場人物に被らせ、神秘性と匿名性をつくりだそうとした。」(マン・レイ)

 

 

 

『地中海』
(1963年/フランス/43分/カラー/日本語字幕付/デジタル・ベータカム)
監督:ジャン=ダニエル・ポレ(協力:フォルカー・シュレンドルフ)
テキスト:フィリップ・ソレルス
音楽:アントワーヌ・デュアメル

 

遺跡や廃墟や事物が、現代的な日常の瞬間を想起させる事物と並置されることで、地中海という「概念」が荒々しい現実との対決を迫られる伝説的「フィルム・エッセイ」。2010年、ジャン=リュック・ゴダールは『ソシアリスム』でこの作品を引用し、ポレにオマージュを捧げた。

「1秒24コマの流れに沿って、わたしたちは自ずと想像の国へと進んでゆき、そこでは感覚が理性にひらめきを与え、例外的なものに遭遇する。規範や規則や基準を超えたものに。つまり一言でいえば、現在進行形のエクリチュールのなかに身を投じるのだ。」(ノエル・シムソロ、「カイエ・デュ・シネマ」)

 

フィルム提供:リュミエール協会、コンパニ・メディテラネエンヌ・ドゥ・フィルム、ポム・フィルム

 

 

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  • 2013-09-14 - 2013-09-14
  • 16:20
  • 開場 : 20分前
  • 一般1200円/学生800円/会員500円
  • アンスティチュ・フランセ東京(03-5206-2500)
  • アンスティチュ・フランセ東京 エスパス・イマージュ
    〒 162-8415
    15 新宿区市谷船河原町 東京都

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