© Nicolas Clauss

 

ART VIDEO ET MEDITERRANEE

ビデオ・アートと地中海

2013年2月18日(月)16時半~18時
上映:約1時間/マーク・メルシエ氏によるティーチイン:約30分
【会場】シネマート六本木(六本木駅より徒歩約2分)
入場無料


本上映&トークショーのご予約:03-5206-2500(アンスティチュ・フランセ東京)

・受付は先着順となります。各回定員に達し次第、予約受付終了といたします。
・15分前に開場します。開始時刻を過ぎますと、ご入場いただけない場合がございますのでご注意ください。
・座席は自由席・完全入替制です。途中での入退場はご遠慮ください。
・未就学児の入場には保護者の同伴が必要です。

マルセイユに本拠地を置く「レ・ザンスタン・ビデオ」は、地中海南部地域における新しいビデオ・アート・フェスティバルの誕生に立ち会ってきました。1993年-1996年のモロッコのカサブランカ、2009年、2010年のシリアのダマスカス、2009年、2011年のパレスチナのラマラ、そして、2013年はエジプトのアレクサンドリア。これらの新しいイベントは、たいていの場合、アーティスティックな活動の氷山の一角である以上に重要な意味を持っています。つまり、多数の地中海地域出身のアーティストたちが彼らの文化、政治的な体験、生存条件などとともにビデオ・アートというジャンルに参入してきたことによって、世界や私たちの文化に対する視線を豊かにし、ビデオ・アートの歴史に新しい息吹を与えた、ということです。

こちらでご紹介するプログラムは、私たちに21世紀のビデオ・アート・フェスティバルがどのような役割を持てるのかを問うきっかけを与えてくれるでしょうか?あるいは、現代制作されている作品の単なる“ショーケース”あるいは“カタログ”に過ぎないのでしょうか?それとも、物事の推移に影響を与え、社会の変化に立会い、私たちの確信を揺るがす、といったようなことができるのでしょうか?

上映予定作品:

Les faiseurs de pluie, Mounir Fatmi (Maroc, 2004) 6’
『雨をつくる人々』ムニエ・ファトゥミ(モロッコ、2004年)6min

“雨”は神の恵み、至高の慈悲であり、人間は、ただそれを与えられたり、与える事を拒否されたりするだけなのです。つまり、“雨”が植物の再生を担っているのならば、それは典型的な神からの贈り物といえるでしょう。後の言い伝えでは、“雨”を降らせる事のできる力は「ワーリ」と呼ばれる人々に与えられ、彼らの墓の丸天井の開口部はこの力を象徴しています。ワーリの威信は大きく、人々は皆自分の祖先に「雨を作る人」を持ちたいと願ったものでした。1998年、バングラデッシュの宗務省は、100人の死者を出した豪雨の後、雨を乞う集団の祈りを取りやめました。

Dansons, Zoulikha Bouabdellah (Algérie/France, 2003) 5’58
『踊ろう』ズリカ・ブアブデラ(アルジェリア/フランス2003年)5min 58sec

フランス国歌「マルセイエーズ」のベリーダンス・バージョンで、ナショナル・アイデンティティを見直し、修正します。フランスとアルジェリアにルーツを持つアーティスト、ズリカ・ブアブデラによって 2003年に制作されたこのビデオは、どこかズレていて、愉快で、恐ろしい程に現代的な問題を表現しています。

The monoconcept, Nisrine Boukhari (Syrie, 2008) 5’40
『モノコンセプト』ニスリン・ブクハリ(シリア、2008年)5min 40sec

第20回レ・ザンスタン・ビデオの開催時、 ニスリン・ブクハリはファティマ・ミランダの素晴らしい声に出会いました。ダマスに戻った彼女はこの感動的なビデオを制作し、オマージュをささげました。

Resonances, Ismail Bahri (Tunisie, 2008) 7’
『共鳴』イスマリ・バーリ(チュニジア、2008年)7min

黒インキで記されたアラブ語の言葉が、アーティストが子供時代を過ごした家のバスタブの中に少しづつ広がっていきます。これらの言葉はそれぞれが反響し合い、漠然とした思い出を呼び起こします。その輪郭はニューロン接続から、想像上の天空地図などさまざまな形を思い起こさせます。移ろいやすい思考の様々な流れを混ぜ合わせ、バスタブは共鳴箱となります。バスタブがインクのついたざらつきを吸収するにつれ、水の表面は夜の繊細なフィルムとなり、バスタブから溢れ、こぼれるものを反映し、言葉を乱します。夜の流れは、消される寸前の、混乱した世界の心の傷跡を明らかにするのです。

Chic point (Fashion for israeli checkpoints), Sharif Waked (Palestine, 2003) 7’
『シックポイント(イスラエルのチェックポイントに向かうためのファッション)』シャリーフ・ワーキド(パレスチナ、2003年)7min

夜のクラブで流れるようなテクノ・ミュージックに合わせて、見ている人に向かって美しい若者が順番に歩いてきます。彼らは穴やジッパー、網やヘアネットで区切られたような、奇妙な服を上半身に着ています。まるで、体がスーツケースになったかのごとく、簡単に開けることができたり(ハンガーの形で開口部を持った服もあります)、もしくはすでに開いているこれらの服は、着ている人の体の構造をさらけ出します。モダンで、手軽で軽薄ともいえる、このカラーで撮影されたビデオと音楽による導入部の後、モノクロの写真が静寂の中に次々と映しだされます。それは、ガザ、ナーブルス、ラマラやジェニンのチェックポイント(国境検問所)での審査で、1人ないし、グループのパレスチナの住民たちが自らのシャツやポロシャツ、上着を、イスラエルの兵士による武器や爆弾ベルトの所持の確認のために、脱いでいく様子なのです。(ニコル・ブレネズ)

Damage, Rania Stephan (Liban, 2009) 2’
『ダメージ』ラニア・ステファン(レバノン、2009年)2min

「哀しきオレンジの地」ガザのための、フラメンコをきかせた、踊り子なしの、暴力についてのとても短い作品。(ガッサン・カナファニ)

Corrida urbaine, Marc Mercier (France, 2008) 3’15
『都市の闘牛』マルク・メルシエ(フランス、2008年)3min 15sec

ラマラの通りで交通整理員が金属製の闘牛に混じって踊っている。

Statement, Lucia Ahmad (Palestine, 2012) 1’59
『ステートメント』ルシア・アハメッド(パレスチナ、2012年)1min 59sec

『ステートメント』はある衝動、「過剰なほど満杯」な感覚、うんざりするような気分から生まれました。ダンサーの友人に電話をかけ、彼女に通りで踊るように頼んだのです!私たちはパレスチナを知っているので、外の世界では平凡に思えるこの行為が、ここでは大事になるということは想像できました。そういうわけで、この作品のタイトルは、自然に「ステートメント(声明)」に決まったのです!

Rico in the night, Mohanad Yaqubi (Palestine/Belgique, 2007) 8’10
『夜のリコ』モハナド・ヤクビ(パレスチナ/ベルギー、2007年)8min 10sec

振付:ジャン・ゴーダン、パフォーマンス:リコ
ヨルダン川西岸地区ラマラでのそぞろ歩き。

Exit, Mohanad Yaqubi (Palestine, 2009) 10’
『Exit』モハナド・ヤクビ (パレスチナ, 2009) 10 min

振付:ジャン・ゴーダン 踊り:パスカル・アリオ
ロンドンの地下鉄を舞台にしたこの作品は、ジャン・ゴーダンとマルク・ゲリーニのクリエーション、『Demain, se réveiller par inadvertance (明日、うっかり起きる)』の一部です。

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18
  • 2013-02-18 - 2013-02-18
  • 16:30 - 18:00
  • 入場無料
  • 03-5206-2500(アンスティチュ・フランセ東京)
  • シネマート六本木
    港区六本木3-8-15 東京都

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