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リリー・レイノー=ドゥヴァールによるインスタレーション
ポーリン・ボードリ / レナーテ・ロレンツによるビデオ上映

2018年5月19日(土)〜6月10日(日)
会場:アンスティチュ・フランセ東京 ホール&ギャラリー
入場無料
キュレーション・共催:ASAKUSA


リリー・レイノー=ドゥヴァール
『わたしの疫病(ビャーネ・メルガードの授業を教える)』(2015 年)

『わたしの疫病(本のように公共的な身体)』(2015 年)

レイノー=ドゥヴァールは、友人や家族、自身が教える学生など身近な人々との「劇団」を疑似的に構成し、神話やアイデンティティ闘争の重要人物について、アーティストとしての立ち位置から婉曲的な接続を試みています。フィクションとして、形象として、ある象徴として紐付けられたこれらの出来事は、作品とアーティストの身体、そして人物の経歴とメディアを介した知覚など、拮抗する力の境界を曖昧にしていきます。レイノー=ドゥヴァールは、こうしたパフォーマンスを「制度批判の慰みごと」の一形態と形容しています。

本作『わたしの疫病(ビャーネ・メルガードの授業を教える)』は、ノルウェーの画家ビャーン・メルガードが、2013 年のヴェネチア・ビエンナーレのために制作した自伝『死を超えて(Beyond Death)』のセミナーを参照しています。この中でメルガードは、人類への脅威とみなされたエイズ流行の時代に、政治や公共の場において最も親密な問い(セクシュアリティ)がもたらされた68 年5 月の出来事を反映し、暴力、アクティヴィズムや急進主義について問題を提起します。ミシェル・フーコー、ブラックパンサー、アンドレア・ドウォーキンやキャシー・アッカーなどによるテキストや疫病について直接的に書かれた記述をもとに、当時の政治家や科学者がエイズ患者に対して行使した暴力と、それに対する反応について語っています。大きなカーテンに描かれたこれらのテキストや関連書籍を持ち歩いたダンスなど、様々な手法で展示空間を侵食する本作のメッセージは、鑑賞者のうちに培養され、拡散していきます。

リリー・レイノー=ドゥヴァール
アーティスト、ライター、パフォーマー。1975 年、仏・ラロシェル生まれ。
ムゼイオン近現代美術館(2017 年、伊・ボルツァーノ)、クンストフェライン(2016 年、独・ハンブルグ)、K11(2015年、中・上海、アイザック・ジュリアンとともに)、オーデイン美術館(2015 年、加・バンクーバー)、ニューミュージアム(2014 年、米・ニューヨーク)、ル・コンソーシアム(2013 年、仏・ディジョン)、ル・マガザン(2012 年、仏・グルノーブル)、クンストハレ・バーゼル(2010 年、独・瑞・バーゼル)にて個展を開催。2009 年、フェミニスト出版社 Petunia を共同設立。2010 年よりジュネーヴ造形芸術大学教授。仏・グルノーブル在住。

関連企画:
リリー・レイノー=ドゥヴァール『わたしの疫病(本のように公共的な身体)』
会期:5月20日(日)〜6月17日(日)※ 土日月オープン 12:00-19:00
会場:アサクサ|台東区西浅草1-6-16

 

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ポーリン・ボードリ / レナーテ・ロレンツ

『オペーク』(2014年)
『トクシック』(2012年)

ポーリン・ボードリ / レナーテ・ロレンツ
2007年の結成以来、自身が「クイア考古学」とよぶ方法論にもとづき、セクシャル・マイノリティーの歴史を写真、音楽スコア、映画や文学テクストから掘り起こし、社会的規範に抗してコード化してきた過去の再解釈を試みてきました。周縁化した状況において、苛烈に ー華やかにー 生きた人々が衣装やプロップをもとに再演され、映像とその構成物による空間インスタレーションとなって、記憶を更新する現在の時間軸に接続しています。

 

本展は、今年50 周年を迎える1968 年五月革命へのトリビュートイベント「第6 回 哲学の夕べ —パリ五月革命をめぐって」の一環として企画されました。

 

共催:

ASAKUSA

 

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  • 2018-05-19 - 2018-06-10
  • 03-5206-2500(アンスティチュ・フランセ東京)
  • アンスティチュ・フランセ東京
    〒 162-0826
    15 新宿区市谷船河原町 東京都