OECD(経済協力開発機構)のデータによると、子供の貧困は、最も裕福な国でさえ、6人に1人の割合で発生しています。日本では特に、2012年より、子どもの貧困率が成人の貧困率を上回っており、不平等を拡大し、弱者をより深刻な状況へ追いやっている事態を食い止める必要性に直面しています。最も危機的状況に身を置くひとり親家庭にとって、職業参入サポートと子供の受け入れのための保育所の充実を結び付けることにより、構造が形成され、イニシアティブの出現につながります。
この討論会では、ひとり親家庭の状況について日本とフランスの社会学の研究者やソーシャルワーカーを招き、ひとり親家庭のサポートや子供の貧困を改善させる取り組みを議論します。

 

パネリスト :

ローランス・コズ
教育・市民活動研究所 所長
社会学者マラ・モーデによって2000年に創設されたIEPC(教育・市民活動研究所)の研修部門の責任者を務め、2018年には所長となる。IEPCは、保育園への子どもの受け入れと仕事を探す親の社会的支援を可能にする革新的なプロジェクトであり、2017年、フランスで4番目に貧しいコミューンであり、失業問題をかかえるオーベルヴィリエに設立。現在では、12の保育園と3つの専門職業訓練センターを管理している。

 

徳丸ゆき子
大阪子どもの貧困アクショングループ代表・NPO 法人 CPAO 理事長
大阪子どもの貧困アクショングループ代表・認定NPO法人CPAO 理事長・公益財団法人あすのば 評議員。NPO 法人にて不登校・ひきこもり支援に従事したのち、国際協力NGOの国内事業部に所属。子どもの社会参画・子どもの貧困・東日本大震災復興支援のスタッフを経て、 2013 年、子ども支援関係者とともに、大阪子どもの貧困アクショングループを設立。これまで20数年、子ども・若者のサポートに関わる。一児のシング ルマザー。著書:『まずはごはん~ささえあう社会へのはじめの一歩~』

 

 

メラニー・ウース
トゥールーズ・ジャン=ジョレス大学准教授
大学内日本セクションの責任者。社会学研究者として20年以上にわたって研究に携わり、日本における貧困、とりわけ貧困の表象や、権利の問題、さらに貧困者の生活経験について研究をしており、路上生活者や日雇い労働者、生活保護受給者やソーシャルワーカーと関わりながら調査をしている。「子ども食堂」の運動を知って以来、現在ではこの活動をめぐって貧困がどのように捉えられているかを研究。湯浅誠の著書『反貧困「すべり台社会」からの脱出』(仏訳が2019年にPhilippe Picquier社から出版)の研究協力もしている。

 

川野 英二
大阪市立大学文学研究科教授
2000年大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程修了。博士(人間科学)。大阪大学助手(パリとトゥールーズの郊外に関する研究)、2005年よりフランス国立社会科学高等研究院(EHESS)モーリス・アルブヴァクス・センター(CMH)研究員、京都大学特定助教を経て、大阪市立大学文学研究科教授。専門は、都市・社会政策の社会学。ヨーロッパと日本で社会保護計画と都市の貧困と排除の比較研究を実施。また、社会学者セルジュ・ポーガムの『貧困の基本形態ー社会的紐帯の社会学』(新泉社会)の翻訳も手がける

 

 

モデレーター :

中塚久美子
朝日新聞 専門記者
朝日新聞専門記者(子ども、貧困)。子どもや家族、ジェンダー、無戸籍問題などを取材。子どもの貧困が「再発見された」と言わ
れる2008年から、子どもの貧困問題を取材している。子どもの貧困関連報道で2010年「貧困ジャーナリズム賞」(反貧困ネッ
トワーク主催)受賞。著書に「貧困のなかでおとなになる」(2012年、かもがわ出版)のほか、「生まれ、育つ基盤―子どもの貧困と
家族・社会(シリーズ子どもの貧困1)」(2019年、明石書店)などにも執筆。

 

 

会場:アンスティチュ・フランセ関西ー京都 稲畑ホール

入場無料

日仏同時通訳付

主催:アンスティチュ・フランセ関西

後援:朝日新聞社

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14
  • 2019-12-14 - 2019-12-14
  • 14:00 - 16:00
  • Entrée libre
  • 075-761-2105
  • アンスティチュ・フランセ関西 稲畑ホール
    〒 606-8301
    左京区吉田泉殿町8 京都市 京都府