関西の知識人、文化人の方にご登場いただき、フランスの好きな作品をご紹介いただくシリーズ。
第八回は、アルベール・カミュ研究の権威である三野博司先生に、今まさに世界中で話題の書、『ペスト』をご紹介いただきます。

 

◎今回ご登場いただくのは:
三野 博司 様(国際カミュ学会副会長、奈良日仏協会会長)

 

1. フランスとの関わりを教えて下さい
京都生まれ、京都大学でフランス語を学び始め、フランス文学に関心をもち、クレルモン=フェラン大学において、アルベール・カミュの研究で博士号を取得。1984年に日本カミュ研究会を創立。大阪市立大学、次に奈良女子大学でフランス語、フランス文学を教える。また、奈良日仏協会でも活動を続け、理事、副会長を経て、2014年からは会長を務める。

 

2.フランスにまつわるお好きな作品を教えて下さい
カミュ『ペスト』

 

3.作品を選ばれた理由は何ですか?
20世紀フランス文学が私のフィールドですが、なかでもカミュ研究はライフ・ワークです。

ですから好きな作品をあげるとなると、断簡零墨に至るまでカミュのすべての書き物をあげることになるのですが、いまは、やはり『ペスト』でしょうか。

第二次世界大戦下における、ナチスとレジスタンスの戦いをペストと保健隊に置き換え、アレゴリーの手法を用いることにより、単なる歴史小説ではなく、時代を超えた普遍性を獲得することに成功しています。

ペストは、いつの時代でも人間を襲う不条理、暴力、災禍の象徴であり、それと戦う人びとの連帯を描いたこの小説が「新型コロナ」の時代に読まれるのも当然でしょう。

『ペスト』への関心が高まるなかで、私も、2月末には毎日新聞記者のインタビューを受け、また4月2日、東京NHKセンターに出向き、ラジオ放送「Nらじ」のなかで『ペスト』について語りました。https://www.youtube.com/watch?v=paz9GDQ-vLQ

 

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三野先生が副会長を務められる国際カミュ学会の会報には、日本で『ペスト』がヒットしている様子や、今年3月に毎日新聞に掲載された記事「ペストに重ねる現実」(三野先生のインタビューあり)が紹介されています。

「国際カミュ学会会報2020年4月号」関連ページの抜粋:Chroniques 30-pages 2,3

 

ラジオ(Nらじ)では、三野先生によるさらに詳しいお話を聴くことができます。今こそ聞きたい、とても興味深いお話ですので、ぜひオンラインでご視聴下さい。

『NHK N らじ』 2020 04 02「アルベール・カミュ【 ペスト 】ただいま 大ベストセラー・危機を乗り越える人間像/三野 博司・ミノ ヒロシ・国際カミュ学会 副会長・奈良女子大学 名誉教授」https://www.youtube.com/watch?v=paz9GDQ-vLQ

 

三野先生、どうも有難うございました!

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  • 2020-05-29 - 2020-07-31
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