アンスティチュ・フランセ関西は、フランス映画をさらに身近に感じてもらい、様々な企画を通してフランス映画に親しんでもらうために、京都シネマと文化交流協定を締結しています。
京都シネマでは、クラブ・フランス会員証(有効期限内のもの)のご提示により、下記の映画を割引料金にてご覧頂くことができます。
※上映時間や詳細については京都シネマまでお問い合わせください。
www.kyotocinema.jp

 

『アレックス STRAIGHT CUT』
11/5(金)-11/25(木)
R18+/Irréversible – Inversion Intégrale/2020/仏/90分/監督:ギャスパー・ノエ/出演:モニカ・ベルッチ、ヴァンサン・カッセル、ジョー・ブレスティア、アルベール・デュポンテル

「ひっくり返せない、不可逆、取り返しがつかない」という原題『Irréversible』が意味するように、エンディングテロップから始まり時系列を逆から描くという挑戦的な構成と、9分間にわたる陵辱シーンで物議を醸し、観たものは誰も無傷ではいられない超問題作『アレックス』。その作品をギャスパー・ノエ監督自身が時系列順に再構成。まったく新しい映画に生まれ変わり、一縷の希望さえ打ち砕かれた世界が提示される。オリジナル版を超える衝撃に戦慄…。
*名画リレーにて『アレックス』(オリジナル版)の上映も決定!
11/5(金)-11/11(木)の一週間限定。一般料金:1.500円、会員:500円、その他は通常料金。

『恐るべき子供たち』
11/5(金)-11/18(木)
1949/Les Enfants Terribles/仏/107分/監督:ジャン=ピエール・メルヴィル/出演:ニコル・ステファーヌ、エドアール・デルミ、ルネ・コジマ、ジャック・ベルナール

コクトーの作品のなかでも最高傑作の小説で、ジャン=ピエール・メルヴィルの映画のなかでも、抜きんでた傑作のひとつがリマスター版になって上映。ヌーヴェルヴァーグの布石にもなった作品として名高く、フランソワ・トリュフォー監督は、なんでも繰り返し見ては、セリフや演出まで暗記していたとか…。ある日の雪の夕方、中学生たちの雪合戦が熱を帯びるなか、ポールはひそかに思いを寄せていた級友ダルジュロスの放った雪玉を胸に受け、倒れてしまう。怪我を負ったポールは自宅で容量することになるが、そこは姉との秘密の部屋だった…。女性主要キャストの衣装をクリスチャン・ディオールが担当し、コクトーの原作の雰囲気を保ちつつも、先進的な青春映画として昇華するメルヴィルの手腕は見事。

『トムボーイ』
11/12(金)-11/18(木)
PG12/Tomboy/2011/仏/82分/監督:セリーヌ・シアマ/出演:ゾエ・エラン、マロン・レヴァナ、ジャンヌ・ディソン
「わたしたちは何者か。その答えは他者の眼差しによって決まるのです。」『燃ゆる女の肖像』で世界を席巻したフランスの映画監督セリーヌ・シアマは、アイデンティティについてそう語っている。デビュー作『水の中のつぼみ』から『燃ゆる女の肖像』までの15年に及ぶキャリアのなかで、さまざまな忘れられてきたものたちを描いてきた彼女の長編2作目である『トムボーイ』が急きょ京都シネマで公開する。
ジェンダーノンコンフォーミングの10歳の主人公ロールが、夏休みに引っ越した新天地で男の子になりすますひと夏を描いた、ある種の冒険物語である。近所に住むリザという少女から男の子と思われたロールは、とっさに“ミカエル”と名乗り、新しい生活を送るようになる。しかし、夏は終わりに近づき、新学期がとうとう迫っていた…。
『燃ゆる女の肖像』とはまた違う質感で、自然主義的に子どもたちの日常を捉えていくカメラは、シアマも敬愛するフランソワ・トリュフォーの『トリュフォーの思春期』を思わせる点が多い。しかし、ロール/ミカエルのまわりに生まれる2つの世界(長女として扱われ、妹の世話をするロールとしての/ほかの男の子に交じり、上裸になってサッカーをするミカエルとしての)がいつか交わることを恐れながらも、待ち望むわたしたち観客はまるでサスペンス映画を見ているようだ。夏が終わるころ、そこに残るのは、ロール/ミカエルの生きたいように生きる冒険の道のりであり、痛みであり、アイデンティティ確立のプロセスである。そして、アイデンティティが、シアマの言うように生まれながらに女/男だとする本質的なものではなく、構築的なものであることをそっと示唆してくれる。煌めきにあふれたすばらしい一作!

『リトル・ガール』
11/19(金)-12/9(木)
Petite Fille/2020/仏/85分/監督:セバスチャン・リフシッツ

フランソワ・オゾンに続く期待の新人監督として2000年に長編デビューを果たしたセバスチャン・リフシッツ監督が、自分の望む性別を生きることができない7歳のサシャと家族の闘いを捉えるドキュメンタリー。
フランス北部、エーヌ県に住む少女・サシャ。出生時、彼女に割り当てられた性別は“男性”だったが、2歳を過ぎたころから自分は女の子であると訴えてきた。しかし、学校を筆頭に社会は、彼女を女の子とは認めず、彼女は女の子として生きることができない。彼女の自由と幸せを守るために働きかける家族が直面する多くの課題、そして喜びの瞬間も捉える。
寛容な社会や多様性ということばへの信頼が失われてしまう事象が多く起こるこの世界で、それでも母親を気遣いながらもことばを紡ぎ、その向こうにある感情にこぼされる涙が心をえぐる。彼女が生きたいように生きることができず、何度も何度も彼女を引き裂く社会やその制度の暴力性は、なぜ必要なのか。既存のジェンダー規範がだれを傷つけるのか。彼女が最初はポロポロと、次第にボロボロと涙をこぼすその横顔を忘れないでいたい。

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  • 2021-11-05 - 2021-12-09
  • 00:00
  • 1800円、クラブ・フランス会員1500円(同伴者2名まで)
  • 075-353-4723
  • 京都シネマ
    〒 600-8411
    下京区烏丸通四条下る西側 COCON烏丸3F 京都市