©2010 Django Films Illusionist Ltd/Cine B/France 3 Cinema All Rights Reserved.

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アンスティチュ・フランセ関西は、フランス映画をさらに身近に感じてもらい、様々な企画を通してフランス映画に親しんでもらうために、京都シネマと文化交流協定を締結しています。
京都シネマでは、クラブ・フランス会員証(有効期限内のもの)のご提示により、下記の映画を割引料金にてご覧頂くことができます。
※上映時間や詳細については京都シネマまでお問い合わせください。
www.kyotocinema.jp

『イリュージョニスト』
8/13, 14, 17, 19
L’Illusionniste/2010/英、仏/80分/監督:シルヴァン・ショメ

『ベルヴィル・ランデブー』でデビューしたシルヴァン・ショメ監督が、喜劇王ジャック・タチの遺した幻の脚本をアニメ化。ジャック・タチの娘から、最も映像化にふさわしい人物へとショメに託された本作は、時代遅れの手品師と少女のひとときをシンプルに叙情豊かに描き、いつかは終わってしまう人生を優しく包み込む。

1950年代のパリ。テレビやロックンロールが台頭し、ショービジネスの在り方が劇的に移ろいゆく日々のなか、初老の手品師タチシェフは、場末のバーで時代遅れの手品を披露しながら細々と暮らしている。ある日、仕事の依頼を受けて向かったスコットランドの離島で、貧しい少女アリスと出会う。タチシェフを魔法使いだと信じ込み慕いはじめるアリスと、彼女に生き別れた娘の面影を重ねるタチシェフ。離島での仕事も終わり、タチシェフが去るとき、アリスはこっそり彼に付いていき、ふたりはエジンバラで暮らしはじめる…。

とても美しく、寂寞感を漂わせながらも前を向いていく作品である。タチシェフとアリスが暮らし始めるモーテルのようなホテルには、タチシェフの手品と同様に時代遅れとみなされた腹話術師やピエロが住んでいて、廊下で挨拶をしたり、アリスは手作りのシチューを分けに行く。ほんとうにわずかな交流だが、それでも温かみのあるシーンだ。ジャック・タチは、タチ本人もお気に入りのユロ伯父さんシリーズで、アメリカナイズドされるフランスのブルジョア的生活を批判したが、ユロさんが住むのは、温かみのあふれる下町にあるちょっとへんてこなアパートだったことを思い出したりした。本人が望もうと望まんとしようと、時代は変わり、かつて新参者だったものは古株になっていく。この映画は、いずれ迎える落日は、悲哀たっぷりに描くのではなく、ただ淡々とラストへ向かっていく。複雑で味わい深い余韻が後に残るだろう。シルヴァン・ショメ監督長編デビュー作『ベルヴィル・ランデブー』のクレイジーな作風とはまた違った味わいだ。ぜひどちらも合わせて見てほしい。

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  • 2021-08-13 - 2021-08-19
  • 00:00
  • 1800円、クラブ・フランス会員1500円(同伴者2名まで)
  • 075-353-4723
  • 京都シネマ
    〒 600-8411
    下京区烏丸通四条下る西側 COCON烏丸3F 京都市