棒知能(Bar Intelligence 01)

インスタレーション 『棒知能(Bar Intelligence 01)』
松山真也・金 成主・青野真士・成瀬 誠・堀 裕和・久保田晃弘(自然知能研究グループ)

インスタレーション『棒人間の知能』
松尾拓実

2月10日(金)~2月19日(日)
アンスティチュ・フランセ東京 ギャラリー

 

『棒知能(Bar Intelligence 01)』
2015年、金らは粘菌アメーバの振舞いから「綱引き原理」による効率的な意思決定の計算原理を抽出することに成功した。この「綱引き」は自然界において普遍的な現象であるため、様々な物理系に綱引き原理を適用することで、物質による普遍的かつ効率的意思決定、さらには「自律的な知的デバイス」が可能になる。この作品は、これまでシミュレーション上で検証してきた「自然知能」を、自走する棒として物理的に実装した「棒知能」デバイスである。
当たる確率がわからない2つのスロットマシンの、一体どちらを引くのが良いのか。それを決めるために、一本の棒の挙動を利用する。どちらのスロットを選ぶかは、棒の左右の位置によって決定し、選んだスロットが当たったか外れたかによって、棒を左右に少しずつ移動させる。棒の移動は棒の中に設置されたソレノイド(電磁石)で行ない、棒の位置は前後に取り付けられた距離センサーで計測している。こうした「物による自然知能」を用いれば、強化学習(人工知能)よりも、高速かつ効率良く意思決定を行うことができる。[制作協力:佐藤駿次(多摩美術大学4年)]

松山真也・金 成主・青野真士・成瀬 誠・堀 裕和・久保田晃弘(自然知能研究グループ)
自然知能研究グループは、自然計算と、人工知能に代表される計算による知能を結びつけ、そこから新たな知性を理解し実現し、社会に新たな価値をもたらすことに関心を持った、研究者・技術者・デザイナー・アーティストの集団である。その究極の目標は、脳や身体などの身体性に依拠しない、普遍的な知性とその構造を探求することであり、情報科学、応用物理、材料科学、生命科学、数学、美学、芸術学など、多様な分野の研究者やクリエイターが参加している。
https://sites.google.com/site/naturalintelligencejp/

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棒人間の知能』
AIを搭載した棒人間が、さまざまな障害にぶつかりながらも、ひたすらゴールを目指していく。ゴールにたどり着けず、無限に死に続ける様を延々と繰り返すことで、何も学ばない人工知能を表現した。
近年、人工知能は目覚ましい発展を遂げている。特に、ビッグデータを分析するディープラーニング(深層学習)は、一部で人間の知能を凌駕する程である。この作品の人工知能は、逆に何も学ばない。「何も学ばない」ことも1つの学習であり、そこに知能はないかもしれないが、知性はある。「何も学んでいない」という事実を知ることは、ソクラテスが唱えた「無知の知」のように、真の知に至る出発点となるはずだ。

松尾拓実
多摩美術大学美術学部情報デザイン学科メディア芸術コース4年。Unreal Engineを用いて、ゲームの側面を持つメディアアート作品の制作を行う。

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  • 2017-02-10 - 2017-02-21
  • 会期にご注意ください
  • 入場無料
  • 03-5206-2500(アンスティチュ・フランセ東京)
  • アンスティチュ・フランセ東京
    〒 162-0826
    15 新宿区市谷船河原町 東京都

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