1959年/95分/35ミリ/モノクロ/英語字幕付
監督:ジャン・ルノワール
出演:ジャン=ルイ・バロー、テディ・ビリス、ミシェル・ヴィトルド
パリ郊外に住む精神科医コルドリエ博士は、自筆の遺言を親友の公証人ジョリに寄託した。ジョリは博士が自分の知らない男オパールを遺産の相続人に指定していることに驚いた。ある夜、ジョリは少女が男に絞殺されかけているのを目撃、追いかけると男はコルドリエ邸の門を開け、姿を消した。その男が実験室に住むオパールであると知ったジョリは、危険人物だから注意するように博士に警告した。
博士の弟子だったセヴラン博士と会ったジョリが外に出たとき、悪事を働いたオパールが通行人に追われセヴラン博士のアパートに逃げ込んだ。部屋では博士が心臓発作で死んでおり、消え失せたオパールの変わりにコルドリエ博士がいた……。
ルノワールは新しいメディアであるテレビに対し、低予算で作品を作ることができると考えて、積極的に取り組んだ。2、3週間かけてリハーサルをし、演劇のように俳優の位置をチョークで示した後に、数台のキャメラとマイクを用意して、一挙に10分間ずつカットなしで撮影した。役者たちは、長いカットによって、粗削りで貫禄のある演技を見せたが、特にジョン=ルイ・バローは博士と犯罪者を見事に演じ分けて新境地を開いた。

「『コルドリエ博士の遺言』は、私が芝居でやった仕事から生まれた、実験的映画である。映画で採用されている、コマ切れ撮影方式は、俳優の演技にはプラスにならないという確信が私にはあって、それがこの作品で、俳優が自分で振られた役割の展開を自分でも追うことが可能な撮影方式を採らせて次第だ。」(ジャン・ルノワール)

「オパール氏やメルド氏の身体に見られる同じ揺れ、それは引き継がれてきた落ち着くことのない身体の歴史であり、サイレント映画の速度で振動する神経である。たとえば、FEKS(エクセントリック俳優工房)や、チャップリン、キートン、ボリス・バルネットの『帽子箱を持った少女』のムジクたち、(自分でも知らずに踊り出す)ラビ・ジャコブ、マルクス兄弟、飛行場でFBIにメッセージを渡していた『ツイン・ピークス ローラ・パーマー最期の7日間』の赤毛で青いスーツを身に纏った情報提供者たちの歴史である。」ジャン=フィリップ・テセ

 

フィルム提供:アンスティチュ・フランセ パリ本部

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  • 2013-01-24 - 2013-01-24
  • 16:30
  • 一般1200円/学生800円/会員500円
  • アンスティチュ・フランセ東京 (03-5206-2500)
  • アンスティチュ・フランセ東京 エスパス・イマージュ
    〒 162-8415
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