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(フランス/1920年/78分/モノクロ/デジタル/日本語字幕)
監督:アンドレ・アントワーヌ
出演:ジョルジュ・デノラ、ピエール・アルコヴェー、ルイス・ラベット

 

二隻の船、ツバメ号とシジュウカラ号がベルギーのアントワープからフランスへと向かっている。船頭のピエールは、妻のグリエとその妹マルテに手伝ってもらいながら船上で平穏な日々を送っている。しかし新しく雇った水先案内人のミッシェルによってそのバランスが崩れていく。マルテはミッシェルに恋心を抱くが、ミッシェルはグリエを誘惑しようとする。また、ミッシェルはピエールが密輸しているダイヤの隠し場所も知り……。
アンドレ・アントワーヌは、「自由劇場」を設立し、舞台芸術の伝統を打ち破り、イプセン、ストリンドベルグ、トルストイなどをフランスの観客に紹介したことで有名。1915年からは映画に情熱をそそぎ、自然主義を用いて、シンプルかつ類い稀な手法で10本ほど監督している。この映画も1920年にフランドル地方でオールロケされているが、作品の持つドキュメンタリー的な側面に難色を示した配給会社に公開を拒否されてしまう。1982年にシネマテーク=フランセーズの倉庫で6時間に及ぶラッシュが発見され、アンリ・コルピができる限り監督の当時の意図を考慮し編集し、1984年になって漸く公開されることになる。
スタジオから抜けだし、田園風景、フランダース地方の商業都市ゲント、そしてそこに住む人々や俳優たちの表情を数台のキャメラで様々な角度からみずみずしく捉えた本作は、10年後に撮られるジャン・ヴィゴの『アタラント号』の誕生を予感させる「河の映画」の傑作といえるだろう。

 

※上映後に、岡田秀則によるトークショーあり。

 

岡田秀則
1968年生まれ。東京国立近代美術館フィルムセンター主任研究員として、映画のフィルム/関連資料の収集・保存や、上映企画の運営などに携わり、2007年からは映画展覧会のキュレーションを担当。また内外の映画史を踏まえた論考、エッセイを多数発表している。著作に『映画という《物体X》』(森話社)、共著に『クリス・マルケル 遊動と闘争のシネアスト』(森話社)など。

 

 

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  • 2018-01-05 - 2018-01-05
  • 18:30
  • 開場:15分前
  • 一般:1200円 学生:800円 会員:500円
  • アンスティチュ・フランセ東京(03-5206-2500)
  • チケット販売時間:上映当日各回の30分前から上映開始10分後まで。チケット販売時間内には、当日すべての回のチケットをご購入いただけます。全席自由。整理番号順での入場とさせていただきます。また、上映開始10分後以降の入場は、他のお客さまへの迷惑となりますので、固くお断りいたします。
  • アンスティチュ・フランセ東京 エスパス・イマージュ
    〒 162-8415
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