(フランス/2018年/98分/カラー/デジタル/フランス語/日本語字幕)

監督’:ヴィルジル・ヴェルニエ

出演:ドゥイ・キュネツ、ユーグ・ンジバ=ムクナ、サンドラ・ポワトゥ

ソフィア・アンティポリス、それは地中海と森と山の間にある不思議な場所。眩いばかりの陽光の下、男も女も生きる意味を、人と人のつながりを、自分たちが属する共同体を探している。そしていつのまにか彼らは失踪した一人の若い女性の運命と交錯していく。

「前作『メルキュリアル』にて幻覚にとらわれた郊外の地での漂流を描いた現在の偉大な政治的映画作家の中でももっともノワールなヴェルニエが、コートダジュールの太陽と遅れてきた資本主義の凍りつくような炎に焼き尽くされたこの超現実主義的ホラー映画においてさらにその方法論を磨き上げる。そこは南仏でありながら、まったく別の世界のようにも見え、非常に冷たく鋭利なものが燃えるような官能性へと至る。そして超=現在の強迫観念や孤独にもとづく数世紀来の神話、至福千年説の恐怖、中世風の信仰がそこに蔓延っている。現代の不安(混乱)を目がくらむほど鮮やかに浮き彫りにする作品。」(「リベラシオン」)

 

※上映後、以下のゲストたちによるトークあり

 

富田克也  Katsuya Tomita

脚本家・映画監督の相澤虎之助らとともに映像制作集団・空族(くぞく)を名のり、「作りたい映画を勝手に作り、勝手に上映する」をモットーに活動。舞台となる土地で実際に生活を営む人たちへ取材を綿密に行い、非職業俳優を積極的にキャスティングすることで、ストリートのリアリティをフィクションに差し込む。代表作に郊外都市の荒んだ若者を描いた《国道20号線》(2007)、寂れゆく日本経済を背景に、肉体労働者、移民、そしてヒップホップで奏でる《サウダーヂ》(2011)。またタイおよびラオスにて長期滞在制作を行った《バンコクナイツ》(2016)では、20世紀のインドシナ半島での戦争の傷跡をトレースしつつ、複層的な物語構成によって、東南アジアから現代日本を逆照射した。

 

ジュリアン・ジェステール Julien Gester

2012年よりフランス日刊紙「リベラシオン」のジャーナリスト、映画批評家として活動、現在は同紙の文化部チーフを務める。それ以前は人気カルチャー雑誌「レザンロキュプティーブル」に執筆、またファッション、メディア業界でグローバルに活躍するマリ=アメリー・ソーヴェが2017年2月に創刊したラグジュアリーファッション誌『Mastermind』の編集長、『Grazia』フランス版創刊にも携わる。そのほか、ポンピドゥー・センターやシネマテーク・フランセーズでの講演や、セルジュ・ダネーらによって創刊された映画雑誌『トラフィック』、ファッション雑誌『ヴォーグ』、『Acne Paper』、『Vanity Fair』など多種多様な雑誌への寄稿も定期的に行う。フランス、世界各地の映画祭、シネクラブなどでは、日本映画、アメリカのコメディを積極的に紹介、プログラムしている。作曲家でもあり、映画音楽も手がける。

 

マチュー・カペル  Mathieu Capel

日仏会館・フランス国立日本研究所研究員、グルノーブルアルプス大学准教授、映画・文学・演劇翻訳者。

03
30
  • 2019-03-30 - 2019-03-30
  • 17:00
  • 開場:15分前
  • 一般:1200円 学生:800円 会員:500円
  • アンスティチュ・フランセ東京(03-5206-2500)
  • チケット販売時間:上映当日各回の30分前から上映開始10分後まで。チケット販売時間内には、当日すべての回のチケットをご購入いただけます。全席自由。整理番号順での入場とさせていただきます。また、上映開始10分後以降の入場は、他のお客さまへの迷惑となりますので、固くお断りいたします。
  • アンスティチュ・フランセ東京 エスパス・イマージュ
    〒 162-8415
    15 新宿区市谷船河原町 東京都

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