Guy Gilles © DR

(フランス/1972年/79分/カラー&モノクロ/DVD/フランス語/日本語同時通訳付)

監督:ギィ・ジル

出演:パトリック・ペン、ダニエル・ドゥローム、イヴ・ロベール、ナタリー・ドロン、パトリック・ジョアネ

29歳のフランソワは銀行で働いている。この世の何も彼の関心を引かないようだ。銀行の店長に呼ばれ、欠勤が重なり過ぎているので解雇を通達される。職業的立場を失ったことでフランソワは社会的疎外へと不可逆的に向かっていく。「ジルの最も美しくも、最も悲しい作品であり、ジャンヌ・モローの声が作品全体に宿っている。」(ジュリアン・ジェステール)

 

ィ・ジイ(1938-1996)

1938 年、アルジェリアの首都アルジェ生まれ。子供の頃より映画ファンで、20歳で13分の美しい処女短編作品『消された太陽』を監督。すでに本作にその後の作品で繰り返し描かれることになるテーマ、亡命、メランコリー、記憶の重さと現在の官能性、また、不確かな未来や若者が率直に表明する感情などを見ることができる。アルジェリア戦争下の1960年、ギィ・ジルはパリへと移住。ピエール・ブロンベルジェの援助により、何本か短編を監督し、その中の『Au biseau des baisers』を非常に気に入ったジャン=ピエール・メルヴィルから援助を受け、初長編である自伝的作品『海辺の恋』を3年がかりで製作。撮影中、ジルの作品、そして彼の人生において大変重要な存在となるパトリック・ジョアネと出会う。作品のほとんどを自主制作し、あまりにも商業ベースから離れていたため、劇場公開されることがなかったが、それでも各地の映画祭で紹介され、1964年ロカルノ映画祭で批評家賞を受賞。長編二作目『切られたパンに』(67)は主演の女優マーシャ・メリルが本作のために自ら製作会社を設立し、完成にこぎつけ、マルグリット・デュラスらから賛辞の言葉が寄せられた。三作目『地上の輝き』(69)はイエール映画祭グランプリ受賞。四作目の『反復される不在』(72)はその年最も優れた作品に与えられるジャン・ヴィゴ賞を受賞。これら初期4作品にはすでにギィ・ジル映画の最良の部分が詰め込まれており、一部の批評家から評価されるも、興行的にはまったくあたらず、ますます困難な製作状況へと追いやられる。何本もの企画が流れたのちにようやく発表したデルフィーヌ・セイリング、サミー・フレイ、ジャンヌ・モローら出演のフィルム・ノワール的作品『Le Jardin qui bascule』(74)は、時代におもねっているとされるふしもあるが、ジルにとって特別な存在であった女優モローが歌うシーンなど、魅力溢れる作品となっている。1987年一人の男が夜の街を徘徊する『夜のアトリエ』は、かけがえのない存在だったパトリック・ジョアネとの物語に終止符を打つ感動的一作。注文されたテレビ作品やドキュメンタリーも多く手がけ、その中にはジルにとって重要な二人の作家、マルセル・プルーストとジャン・ジュネについての2本の美しいドキュメンタリー『プルースト、芸術と苦悩』(71)と『聖人、殉教者、詩人』(75)がある。壊されて行く街の小さな映画館にオマージュを捧げた『シネ・ビジュ(映画=宝石)』 (65)も貴重なドキュメンタリーである。生前にはほとんど知られることがなく、ひっそりと映画を作り続けてきた作家ギィ・ジルの作品は、2003年のラ・ロシェル映画祭、2004年と2005年にルサス映画祭、2005年にパンタン短編映画祭で特集を組まれるようになり、シネマテーク・フランセーズでようやく2014年に全作で回顧上映特集が開催され、一気にパリの映画ファンたちに発見され、フランスを始め、世界各地で徐々に発見され、評価が高まっている。

 

「ユスターシュやガレルとさほど遠くない、従兄弟のような存在でありながら、人目にあまり触れることなく映画を撮り続けていたギィ・ジル、彼の映画は忘却に抗う力を秘めていて、今回その最も美しい作品群を日本で初めて特集する。ギィ・ジルはその最期までヌーヴェルヴァーグの作家たちからもあまり愛されることなく、理解されることのない弟分のような存在であったが、監督としてデビューした初期の時代に『地上の輝き』(1969)や『反復された不在』(1972年)といった傑作を残している。『反復された不在』はジルの最も美しくも、最も悲しい作品であり、ジャンヌ・モローの声が作品全体に宿っている。つねに悲哀を帯び(母の死、惨憺たる恋愛体験、アルジェからパリへの亡命が痕跡を留めている)、自伝的要素の強い叙情性やロマンティスムへの陶酔を表現しているかのような特異な色使い、そして記憶への過度なる感受性で焼け焦げ、渦を巻くような運動に調和するかのような、非常に創意に富んだエクリチュールが編集によってなされているギィ・ジルの作品は、フランス映画の偉大な詩人たちについての正式なる歴史の中には、遺憾ながらも、まだ十分なる場所を見出してはいない。」(ジュリアン・ジェステール)

 

 

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  • 2019-04-05 - 2019-04-05
  • 19:00
  • 開場:15分前
  • 一般:1200円 学生:800円 会員:500円
  • アンスティチュ・フランセ東京(03-5206-2500)
  • チケット販売時間:上映当日各回の30分前から上映開始10分後まで。チケット販売時間内には、当日すべての回のチケットをご購入いただけます。全席自由。整理番号順での入場とさせていただきます。また、上映開始10分後以降の入場は、他のお客さまへの迷惑となりますので、固くお断りいたします。
  • アンスティチュ・フランセ東京 エスパス・イマージュ
    〒 162-8415
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