パリ東マルヌ・ラ・ヴァレ大学の准教授であるキャロル・オルエは、20世紀前半の代表的脚本家・詩人ジャック・プレヴェールのスペシャリストです。子どもの本を含め、プレヴェールをテーマに多くの著書を出版しています。「天井桟敷の人々」の上映に続く今回の講演では、プレヴェールと映画の関係を歴史的側面から、また脚本完成に至るプロセスを脚本以外の分野の作品―演劇、詩、映画、コラ-ジュ、交友関係―アーティスト、俳優、作家―の側面から解説しながら、ジャック・プレヴェールの脚本の魔術と詩情について語ります。ジャック・プレヴェールはマルセル・カルネをはじめ、ピカソ、エディット・ピアフ、ボリス・ヴィアンのような時代を代表する芸術家と深い友情で結ばれていました。映画の脚本に見られる「パロール(言葉)」を用いた詩的表現には、さまざまな影響のもとに生まれたプレヴェールの創造の独自性が象徴されています。キャロル・オルエの研究は、シュール・レアリスム、1930年代の共産主義傾向演劇、文学と映画の関係の分野にも及んでいます。
『天井桟敷の人々』
(1945年/190分/フランス/35ミリ/日本語字幕付)
1828年パリのタンプル大通り、通称犯罪大通り。パントマイム役者バティストは妖艶で美しい女芸人ガランスはと知り合い、彼女を恋するようになる。パリの繁華街を舞台に、とりどりの人間群が織りなす人生の悲喜劇を壮麗に描いたカルネ=プレヴェールの代表作。第1部「犯罪大通り」、第2部「白い男」と二部構成になっている。劇の中心をなすバチスト・ドビュロオとフレデリック・ルメートルは共に実在の人物で、前者は本名シャルル、パントマイムのピエロ役の近代的創造者として知られている。
「ドイツ占領下の映画を特徴付ける娯楽と逃避の映画が、ここでその完成を見出している。高貴さ、それも真の高貴さ、心の、精神の、才能の、性格の高貴さが、肩書きや金に勝利を収める。(…)ここでプレヴェールは彼の最も美しいシナリオを考案する。筋の構成、そしてアレクサンドル・トローネルのセットとコスマの音楽、さらに輝くばかりの配役。」(ジャン・ドゥーシェ、ジル・ナドー著、「パリ、シネマ」梅本洋一訳、フィルムアート社)
配給:ザジフィルムズ
スケジュール
15:30 上映 『天井桟敷の人々』(1945年/190分)
19:15 キャロル・オルエによるティーチ・イン
・上映の1時間前から、チケットを発売致します。
・開場:上映20分前
東京大学での講演会のご案内
5月10日(金) 19時-21時
講演会 / プレヴェールと映画 『天井桟敷の人々』再発見
講師 / キャロル・オルエ(パリ・エスト大学) 「ジャック・プレヴェールと映画」
コメンテーター:今橋映子(東京大学)
司会:野崎歓(東京大学)
東京大学(本郷キャンパス)
文学部2号館第1教室
東京大学文学部フランス語フランス文学研究室
Tel. : 03.5841.3842 – futsubun@l.u-tokyo.ac.jp
- 2013-05-11 - 2013-05-11
- 15:30 - 20:30
- 一般1200円/学生800円/会員500円
- 03-5206-2500(アンスティチュ・フランセ東京)
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アンスティチュ・フランセ東京 エスパス・イマージュ
〒 162-8415
15 新宿区市谷船河原町 東京都