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デジタル・ショック賞2016 受賞者決定

このたび、若手アーティストによるメディアアート作品に与えられる「デジタル・ショック賞2016」の受賞作品が、ノガミカツキ氏の『Rekion voice』に決定いたしました。
ノガミカツキ氏には、フランス・ナント市に滞在し、2016年9月のスコピトーン・フェスティバルで作品を発表する機会が与えられます。またフランス滞在中には、オープンスタジオや、専門家との交流の機会なども設けられます。

主催:スコピトーン・フェスティバル(Stereolux)、デジタル・ショック(アンスティチュ・フランセ日本)

 

ノガミカツキ

分野:映像、メディアアート
92年生まれ、ベルリン芸術大学に1セミスター交換留学、オラファーエリアソンのRaumexperimenteに所属。
武蔵野美術大学卒業。
海外ではFILE、WRO、Scopitone、International festival spainに、国内では六本木アートナイト、Future Catalysts Hakuhodo × Ars Electronica』、札幌国際芸術祭関連企画に出演。映像作家100人2015に選出。
group_inouの,ゆるめるモ!,仮谷せいらやラブリーサマーちゃんのMV、Maltine Recordsのドキュメンタリー映像など制作。

文化庁メディア芸術祭19th エンターテイメント部門新人賞
アジアデジタルアート大賞2015 優秀賞
学生CGコンテスト 20th 最優秀賞
Yahoo!JAPAN インターネットクリエイティブアワード 2014 ノミネート
北九州デジタルクリエーターコンテスト2014 MONOCafe賞(2nd Prize)
国際映像コンペティション取出2014 優秀賞
出張blanClass@森美術館 blanClass賞
北九州デジタルクリエーターコンテスト2015 入選
FILE ANIMA 奨励賞

http://katsukinogami.tokyo/

 

作品『Rekion voice』について

ロボットは忠実なモンスターだ。
ロボットは誰も見ていない間も働くのを止めない、それは忠実なしもべであり奴隷のようでもある。
今回、あなたはたくさんの奴隷ロボットの中にいる経験ができる。
30体のロボットが規則的に整列しており、それは労働者の奴隷だ。
あなたはパラメトリックスピーカと聴診器によって飛び交う悲鳴を聞く。
(ノガミカツキ)

テクニカルディレクター/渡井 大己(Taiki Watai)
テクニカルアシスタント/稲垣 淳(Jun Inagaki)

 

 

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審査員コメント
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 四方幸子(インディペンデント・キュレーター)

日常の事物や諸コードを身体性をともないながらハッキングしていくノガミの、AIへの批評性が顕著にあらわれている。日常に普及し始めた道具ロボットと、いずれ人間を凌駕しそうな勢いのインテリジェント・ロボットとの落差を前に、ノガミは前者への思い入れを展示とパフォーマンスで追求する。壊れ気味のロボットが展示では規則的に並び、来場者を認識して後をつけるという。パフォーマンスでは、ロボット内部の音とノガミ自身の骨の音が出力され、一種不気味(uncanny)でユーモラスな場を生み出すだろう。ガラクタロボットはナムジュン・パイク以降の系譜をもつが、スタンドアローンのロボットを超えネットワーク化されたシステムとしてのAIやそれに影響される私たち、という現在を見据えたプロジェクトとしても評価した。

 

齋藤精一(ライゾマティクス代表取締役/クリエイティヴ・テクニカル・ディレクター)

AIやロボットが急速に普及し、人間がそれに対してまだ対応しきれていない現在、それらはどのように進化していき、人間との距離を取っていくのかが多くの場所で議論されている。
ノガミさんの作品はそんな今我々が心の何処かで思っているテクノロジーに対する態度を体現してくれているのかもしれない。
これを体験した人々はそんなテクノロジーの未来の1つの「選択」を心の中に持ってくれると願う。
メディア・アートが今やるべきこととして彼の見つけた表現を個人的にも体験出来るのを楽しみにしている。

 

サンソン・シルヴァン(アンスティチュ・フランセ東京、デジタル・ショック プログラム責任者)

人工知能のさまざまな欠陥や、その登場によって明らかになり始めた、人工知能と人間との新たな関係に対する不安を扱ったプロジェクト。ノガミ氏の本作品は、想定された潜在的現実としての機械の自立性や感情の自立性のみならず、機械の人間化についても同様に問いを投げかけている。想定されたある知性の人間化の扱い方や、最終的に機械の残酷さだけが露わになることで、人間化とは擬人主義であると批判するその仕方が、今年の本賞の課題に見事に答えているように思われた。

 

セドリック・ユシェ(スコピトーン・フェスティバル アートディレクター)

 

 

スコピトーン・フェスティバル2016

スコピトーン・フェスティバルは、アートやテクノロジー、科学や建築を融合させた新しい芸術表現形態や、最先端で革新的なクリエーションを紹介するフェスティバルです。
ナント市内のさまざまな歴史的・象徴的な場所で、1 週間にわたり、展覧会やパフォーマンス、オーディオ・ビジュアル・ライブ、ワークショップ、専門家による講演会などが行われます。
会期:2016年9月21日~25日

http://www.stereolux.org/scopitone-2016

 

 

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  • 2016-09-21 - 2016-09-25

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