フランス幻想怪奇映画特集 ~『ダゲレオタイプの女』公開記念~

フランスには怪奇映画というジャンルは存在しているのでしょうか?存在しているとしたら、それはいつから始まり、どのように開拓されてきたのでしょう。メリエスからジョルジュ・フランジュ、コクトー、シャブロル…。黒沢清が初めてフランスで撮り上げた『ダゲレオタイプの女』の公開を記念し、黒沢監督セレクトによる幻想的、怪奇的なテーマをもつ作品を特集します。

本企画は第29回東京国際映画祭提携企画です。

 

「性障害の極端な状態を描く二本の作品『キャット・ピープル』と『ガーゴイル』では、表象されうるものの限界という問いを巡って演出が組み立てられている。もちろん、ターナーにとってと、ドゥニにとってでは、そうした限界は異なるだろう。しかし二人の監督のアプローチにおいて共通するものは、心の闇にある苦痛を呼び起こすことへの関心である。そのことによって物語の表面は強調され、また時に覆い尽くされ、作品はある種の別の時空へと導かれていく。その世界では視覚的、聴覚的な記号の意味や価値は、根本的な変化を受けるだろう。」 (クリス・フジワラ)

 

Cat People 1

©DR

 15:00~ 『キャット・ピープル』

(アメリカ/1942年/73分/デジタル/モノクロ/日本語字幕付)
監督:ジャック・ターナー
出演:シモーヌ・シモン、ケント・スミス、ジェーン・ランドルフ、ジャック・ホルト

造船設計技師のオリヴァーは、セントラル・パークの動物園で黒豹の写生をしていたイレーナと知り合い、やがて結婚する。しかし猫族の末裔という妄想に取りつかれていたイレーナは、自分が興奮すると黒豹に変身する事を恐れ、夫の愛を素直に受け止めることができず、苦悩しはじめる……。

1940年代に怪奇映画のプロデューサーとして名声を馳せたヴァル・リュートンが、ジャック・ターナーに託した奇妙な欲望と恐怖の物語。罪責感と幻惑が交じり合った、繊細な性のメタファーが描かれている。ターナーが監督した怪奇映画の第一作。

 

 

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©FRANCOISE HUGUIER / RAPHO

16:30~ガーゴイル

(フランス/2001年/100分/35ミリ/カラー/日本語字幕付/R15+)
監督:クレール・ドゥニ
出演:ヴィンセント・ギャロ、トリシア・ヴェッセイ、ベアトリス・ダル、アレックス・デスカス、フロランス・ロワレ=カイユ

アメリカ人の新婚夫婦シェーンとジューンは、ハネムーンでパリを訪れた。シェーンはかつての友人でフランス人医師のレオを探していた。幸せそうに見える2人だが、なぜかシェーンは愛しているはずのジューンを抱こうとはしない。実はシェーンはジューンに告げる事の出来ない奇妙な病に悩まされていたのだった……。

 

「『ガーゴイル』には、排除というものが存在しない。すべての瞬間を映画に込めるという意志が働いている。ここに、映画が解放されているという希望を私は持った。(…)全てが融合して新しいものを産み出している。」―黒沢清

 

16:30の回上映後クリス・フジワラ氏(映画批評家)によるアフタートークを予定しています。

 

ゲストプロフィール

クリス・フジワラ

映画批評家、元エンジンバラ国際映画祭のアーティスティック・ディレクター。国際映画批評家連盟、全米映画批評家協会、ボストン映画批評家協会の会員。主な著書に『The World and Its Double: The Life and Work of Otto Preminger』『Jacques Tourneur: The Cinema of Nightfall』など。

 

主催 アンスティチュ・フランセ日本
助成 アンスティチュ・フランセ パリ本部、CNC(フランス国立映画センター)、ユニフランス
映画プログラム オフィシャル・パートナー 笹川日仏財団、TV、 MONDE
特別協力 第29回東京国際映画祭事務局
フィルム提供 シネマヴェーラ渋谷、カルチャー・エンターテイメント株式会社、マーメイドフィルム
後援 横浜市文化観光局

 

sasaunifrancedaiwa

『タゲレオタイプの女』は、10月15日(土)より、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテ、横浜シネマ・ジャック&ベティほか全国公開!

 

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  • 2016-10-15 - 2016-10-15
  • 一般:1200円、会員:600円、東京藝術大学学生:無料、同日2作品セットでのご購入は、一般:1800円
  • 045-201-1514
  • 東京藝術大学 (横浜・馬車道校舎)大視聴覚室
    〒 〒231-0005
    4-44 中区本町 横浜市