
©Shanna Besson MD
会場:東京日仏学院
会期:2023年9月8日(金)〜29日(金)
すべての上映をご覧いただくには、Peatixのページをご覧ください
秋の深まりとともに、フランス映画との出会いをお楽しみいただける第5回「映画批評家月間 〜フランス映画の現在をめぐって〜」の季節がやってきました。今年は、『私の大嫌いな弟へ ブラザー&シスター』が9/15(金)に日本公開される映画監督アルノー・デプレシャンをお迎えします!世界中の批評家や映画ファンから最も高く評価されている映画作家のひとりであるデプレシャンのこれまでの作品を一挙上映します。デプレシャン監督の唯一のドキュメンタリー作品『愛されたひと』や『“男たちと共に”演技するレオ』などの作品は、今回はじめて日本語字幕付きで上映されます。デプレシャン監督は9月17日(日)『エスター・カーン』上映後のティーチイン、そして9月21日(木)『愛されたひと』上映後、映画批評家の須藤健太郎さん、映画ライター、編集者の月永理絵さんとのディスカッションに登壇します。
もちろん、本特集は、これまで通り、日本未公開の現代フランス映画の優れた作品を発見する絶好の機会でもあります。ルイ・ガレルの監督・主演最新作で映画的創意に満ち、奇想天外な犯罪コメディ『イノセント』や、注目の若手女性監督アリス・ウィンクールが同時多発テロという傷をおった街を繊細に描く、愛と回復の物語『パリの記憶』など、選りすぐった6本の秀作に出会えるチャンスです。笑いあり、感動あり、独創性にあふれ、魅力的なフランス映画の千差万別の側面を発見いただき、映画についてみんなで語り合いましょう!
アルノー・デプレシャンからの挨拶
僕のこれまでの映画を日本で特集してもらえる時が来ました。ここに書ききれないほど感動しています。僕の人生において、皆さんがどれほど大切な存在であったかを実感しながら。皆さんに会いに来ること、日本映画について知ること、日本の映画館や大学やバーで時を過ごすことがどれほど好きか。初来日のときは、新宿のバー、ラ・ジェテで尊敬するコッポラに遭遇したことも!けっして消えることない思い出です……。そう、東京を訪れるたびに、僕は自分が歩んできた道のりを確認してきました。
もう映画を作り続けて32年です!僕はT・S・エリオットの詩の以下の2行を自分に言い聞かせるように暗唱しています。
ああ齢が寄る……齢が寄る
ズボンの裾をまくってみようか
後ろを振り返るすべなど心得ていないと思いながら……。
当時シャイヨー宮にあったシネマテーク・フランセーズでの一夜をはっきりと記憶しています。僕は19歳で、バルコニーの最前列でエリック・ロシャンとパルカル・フェランと共に座っていました。あれはアンリ・ラングロワだったか、オーソン・ウェルズが紹介されて入ってきました。会場は満席で、僕たちは巨人の言葉に酔いしれました。ウェルズは「この会場で映画を撮りたい人は誰でしょう」と観客に問いかけ、おそらく約300人が一斉に手を上げました。ウェルズは、今度は「君たちの中でエンターテインメントを作りたい人はいますか」と尋ね、ロシャンと僕はすぐに両手を高く上げ、すぐに自分たちだけだと知り恥ずかしさで縮こまったものです。
それから僕は32年間エンターテインメントにつとめ、皆さんを楽しませてきました。時にはわかりにく、あるいは博識ぶった、または大衆的なモチーフとともに。東京で上映される僕の全作品を前にお伝えしたいのは、各作品の後ろに僕は決して隠れることなく、完全に自分を捧げようとしてきたつもりだということです。裸になり、ばかばかしくも、華々しくも、慎みなく、みだらに。そう僕が唯一、倫理を持っているとしたら、それは “みだらであれ “という倫理でした。 俳優たちの素晴らしきみだらさに倣って。俳優と同じように、僕は自分自身のを道具として映画を作ってきました。
独学の僕に、映画はすべてを教えてくれました。それが今回の来日に際して僕が言える唯一のこと、感謝の気持ちであり、それは僕の誇りの源です。
アルノー・デプレシャン監督レトロスペクティブ
- 二十歳の死(1991)
- 魂を救え!(1992)
- そして僕は恋をする(1996)
- エスター・カーン めざめの時(2000)
- ”男たちと共に”演技するレオ(2003)
- キングス&クイーン(2004)
- 愛されたひと(2007)
- クリスマス・ストーリー(2008)
- ジミーとジョルジュ 心の欠片を探して(2013)
- あの頃エッフェル塔の下で
- イスマエルの亡霊たち(2017)
- ルーベ、嘆きの光(2019)
- いつわり(2021)
*本特集は第45回ぴあフィルムフェスティバルでも開催されます。同フェスティバルでの上映&イベントの詳細もご確認ください。
批評家たちオススメの最新フランス映画
- フルタイム(エリック・グラヴェル、2021)
- イヌとイタリア人、お断り!(アラン・ウゲット、2021)
- 揺れるとき(サミュエル・セイス、2021)
- パリ18区 グット・ドール街 (クレモン・コジトール、2021)
- イノセント(ルイ・ガレル、2022)
- パリの記憶(アリス・ウィンクール、2022)
*本特集は、一般社団法人コミュニティシネマセンターの協力のもと、京都、大阪ほか他都市、他会場での開催を予定しています。
第5回 映画批評月間 ~フランス映画の現在をめぐって~ スペシャルエディション アルノー・デプレシャンとともに
主催:アンスティチュ・フランセ
助成:アンスティチュ・フランセパリ本部、ユニフランス
アンスティチュ・フランセ日本 映画プログラム オフィシャル・パートナー:CNC、笹川日仏財団
特別協力:ムヴィオラ、ぴあフィルムフェスティバル、一般社団法人コミュニティシネマセンター、tapetum works、
フィルム提供及び協力:アルテ・フランス・シネマ、Bart.lab、セテラ・インターナショナル、コムストック・グループ、レ・フィルム・デュ・ロザンジュ、インディ・セールズ、
株式会社アイ・ヴィー・シー、マーメイドフィルム、MK2、パテ・フィルムズ、ル・プティ・ビュロー、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭、ワイノット・プロダクション。






