© PAPRIKA FILMS / TARANTULA / ARTÉMIS PRODUCTIONS – 2019

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アンスティチュ・フランセ関西は、フランス映画をさらに身近に感じてもらい、様々な企画を通してフランス映画に親しんでもらうために、京都シネマと文化交流協定を締結しています。
京都シネマでは、クラブ・フランス会員証(有効期限内のもの)のご提示により、下記の映画を割引料金にてご覧頂くことができます。
※上映時間や詳細については京都シネマまでお問い合わせください。
www.kyotocinema.jp

 

4/22(金)-5/12(木)『ふたつの部屋、ふたりの暮らし』
Deux/2019/仏、他/95分/監督:フィリッポ・メネゲッティ/出演:バルバラ・スコヴァ、マルティーヌ・シュヴァリエ、レア・ドリュッケール、ミュリエル・ベナゼラフ

「観客には彼女たちを犠牲者としてではなく、愛のために戦うヒロインとして認識してもらいたかったのです。」―この力強いことばが示す『ふたつの部屋、ふたりの暮らし』は、2021年セザール賞新人監督賞に輝いたフィリップ・メネゲッティ監督の長編デビュー作。年配のレズビアンカップルを主人公に、ロミオとジュリエットのように、燃え上がる愛の炎と同時に、シニア層の同性愛カップルが直面する社会的な壁を見事に描いた傑作だ。

アパルトマン最上階に向かいあうふたつの部屋。そこで暮らすニナとマドレーヌは、表向きは隣人同士で仲の良い友人、しかしほんとうは、長年愛し合ってきた恋人同士。マドレーヌは男性と結婚のすえに夫が先立ち、子どもたちも独立している。ふたりの望みは、アパルトマンを売却し、ローマに移住することだが、マドレーヌは家族にそのことを伝えられない。「老いたレズビアンなんて、珍しくない!」、ふたりがこのことで喧嘩した直後、マドレーヌは脳卒中で倒れ、ニナは最愛の人から隔てられてしまう…。

驚くほど繊細で、大胆、静かな革命なる本作は、確固たる情熱に動かされて行動していくサスペンスフルな愛と赦しの物語だ。ときに人間ドラマに相容れないように思えるサスペンスのコードを使ってスリラー映画なみにハラハラさせるドラマが展開する。長年“クローゼット”として生きてきたマドレーヌの部屋は、亡き夫、そして子どもたちとの思い出であふれ、それは居心地の良さとともに彼女が飛び立つにはとても重いものにもなっている。後半になって明かされるニナの部屋とはまったく対照的だ。こういった主人公たちのバッググラウンドを立ち上がらせる細やかな手法が鮮やかで深い。そして「老い」や「病」といった老年期カップルが直面する問題、同性同士だからこそ立ちはだかる壁が、うつくしい映像とともに描かれていく。マドレーヌが家族の前で見せる、内に秘めた悲しみをみると、なぜわたしたちはイデオロギーや“普通”というものを優先してしまうのだろうと考えてしまう。最愛の人と築き上げた平和な日常が崩れ去った時に、自らの手で愛を取り戻そうと抗い、闘う女性たちのすがたはぜひ劇場で。

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  • 2022-04-22 - 2022-05-12
  • 00:00
  • 1800円、クラブ・フランス会員1500円(同伴者2名まで)
  • 075-353-4723
  • 京都シネマ
    〒 600-8411
    下京区烏丸通四条下る西側 COCON烏丸3F 京都市