京都シネマ

© TF1 FILMS PRODUCTION – MONTHYON FILMS – FRANCE 2 CINEMA

アンスティチュ・フランセ関西は、フランス映画をさらに身近に感じてもらい、様々な企画を通してフランス映画に親しんでもらうために、京都シネマと文化交流協定を締結しています。
京都シネマでは、クラブ・フランス会員証（有効期限内のもの）のご提示により、下記の映画を割引料金にてご覧頂くことができます。
※上映時間や詳細については京都シネマまでお問い合わせください。
www.kyotocinema.jp

10/28(金)より
《生誕80周年　クロード・ミレール映画祭》
ロベール・ブレッソン、ジャン＝リュック・ゴダール、ジャック・ドゥミ、フランソワ・トリュフォーら映画史に燦然と輝くフランス映画の巨匠たちの助監督や製作主任としてキャリアをスタートさせたクロード・ミレール。誰よりも映画を知り尽くし、堅実な映画作りを実践するなかで、キャラクターの心象風景やゆらぎ方を見事な映画的手法で描き切る“ヌーヴェル・ヴァーグの正統な後継者”の名作4作を上映！

＊ラインナップ＊　日替わり上映/上映日程などは決まり次第劇場ホームページにて発表します。
『なまいきシャルロット』『勾留』『伴奏者』『ある秘密』

＊作品紹介＊
『なまいきシャルロット』
L’ÉFFRONTEE/1985年/フランス/92分/出演：シャルロット・ゲンズブール、ジャン=クロード・ブリアリ、ベルナデット・ラフォン
「この町を出て自由になりたい。」―カーソン・マッカラーズの『結婚式のメンバー』を翻案した一作で、ここではないどこかを夢見る少女の成長譚。反抗期真っただ中の少女が、町にやってきた同じ歳の天才ピアニスト・クララと出会い、「付き人になってほしい」というクララの言葉に期待するが…。笑って、怒って、泣いて。13歳の少女の、“何者にでもなれる”という強気と不安、無鉄砲さがみずみずしい。そして、彼女は異性ではなく同性に認められたいのだ。そんなシャルロットのことが大好きな親友ルルと、シャルロットの気持ちを包み込む、ベルナデット・ラフォン演じるシャルロットの家のメイド・レオーヌ。3人で過ごす夏の温かな日差しに満たされた庭の風景が忘れがたい。

『勾留』
GARDE À VUE/1981年/フランス/84分/出演：リノ・ヴァンチュラ、ミシェル・セロー、ロミー・シュナイダー、ギイ・マルシャン
大みそかの夜、幼女連続レイプ殺人の容疑をかけられた公証人と、決定的な証拠が見つからないなか、彼が犯人だと信じて疑わない刑事による、取調室メインで展開する会話劇。雨音とタイプの音がしきりに目に（耳に）つく閉塞的な場所での互いに的を得ない会話の応酬を繰り広げるのは、フランスの舞台・映画界を通じ当代一の役者ともいわれるミシェル・セローと数多くのノワール映画に出演したリノ・ヴァンチュラ。そして事件のカギを握るのは、公証人の妻。演じるのはロミー・シュナイダー。名優たちが、不思議なリズムでわたしたちを引き込んでいく傑作心理サスペンス。

『伴奏者』
L’ ACCOMPAGNATRICE/1992年/フランス/110分/出演：ロマーヌ・ボーランジェ、リシャール・ボーランジェ、エレナ・サフォノヴァ、サミュエル・ラバルト、ベルナール・ヴェルレー
ドイツ占領下のパリで、オペラ歌手の伴奏者となった貧しいピアニストの複雑な心の揺らぎを描いた愛憎劇。『なまいきシャルロット』でのクララにむけるシャルロットのまなざしには、クィアなものを感じさせるが、そのまなざしが『伴奏者』には引き継がれるよう。暗く、深い闇に包まれたパリの街で燦然と輝くオペラ歌手イレーヌにむける主人公ソフィの熱いまなざしがイレーヌからソフィに返されることはない。その視線の平行線がほんとうにこころをかき乱す。愛をもとめて己を失ってしまう類の青春映画としてもみごたえあり！

『ある秘密』
UN SECRET/2007年/フランス/107分/出演：セシル・ドゥ・フランス、リュディヴィーヌ・サニエ、マチュー・アマルリック
「私は物語を書くように両親の詩を紡いだ」―あるユダヤ人家族。両親が背負う秘密がぽろぽろと零れ落ちる。そこにはいくつもの痛みと哀しみと、たくさんの愛があったことを知る。フィリップ・グランベールの時点的小説が原作で、ユダヤ系のミレール監督が自身の幼少期の経験を原作と重ねあわせて、フランス現代史の負の遺産を描いた。物語が紡がれたときに表れる“赦し”という感情を、俳優マチュー・アマルリックの手のカットで丁寧に託されたとき、この作品があまりにもすばらしい映画であるという確信に満ちる。マチュー・アマルリックのほか、セシル・ドゥ・フランス、リュディヴィーヌ・サニエなど当時の若手実力派が顔をそろえた、ミレール監督作晩年の傑作として名高い一本。