戦争と責任をテーマに、サルトルが描いた最後の創作劇

 

 

「Try・Angle―三人の演出家の視点―」シリーズの第三弾。1959年に発表された本作は、サルトル最後の創作劇で、『出口なし』『悪魔と神』と共にサルトルの三大劇の一つに数えられている作品です。第二次世界大戦後のドイツを舞台に、戦時中の心の傷から13年も、自宅に引きこもったままの主人公フランツを軸に、「戦争」と「責任」、さらには出口の見えない状況に「幽閉」された人々を描いています。作品発表当時、アルジェリア戦争でフランス軍などがアルジェリア人に対して行った残虐行為を痛烈に批判するサルトルの思いが込められた問題作です。

細やかな演出で人間を鮮やかに描き出す俊英、上村聡史の演出と、岩切正一郎による新翻訳でお贈りする『アルトナの幽閉者』。12年『リチャード三世』での好演も記憶に新しい岡本健一、新国立劇場初登場となる美波、確かな演技力で観客を魅了する辻萬長ら、実力派キャストが火花を散らす究極の会話劇をお楽しみください。

 

ものがたり

1959年、ドイツ。喉頭癌に侵され余命6ヶ月と宣告された父親は、自らが営む造船業の後継者を決めるために家族会議を開く。次男で弁護士のヴェルナーとその妻ヨハンナ、長女のレニが参加する中、父親はヴェルナーに会社を継がせ、さらに自宅に住まわせようとするが、ヨハンナに猛反発される。一同の心に重くのしかかっているのは、長男フランツの存在であった。

彼は13年前にアルゼンチンへと出奔、3年前に彼の地で死んだことになっていたが、実は第二次世界大戦中に、あることから心に深い傷を負い、以来、妹のレニの世話のもと、ずっと家の2階にひきこもったまま狂気の生活を送っていた。フランツを愛する父親の最後の望みは、長男への対面と、彼の世話を次男夫婦がすることであった。ヨハンナの説得により、13年ぶりに待望の対面を果たした父親とフランツ。はたして一家の辿る運命は・・・・・・。

 

作:ジャン=ポール・サルトル
翻訳:岩切正一郎                           
演出:上村聡史     
出演:岡本健一 美 波 横田栄司 吉本菜穂子 北川 響 西村壮悟 辻 萬長

会場:新国立劇場、東京

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  • 2014-02-19 - 2014-03-09
  • 00:00
  • A ¥5,250 B ¥3,150
  • 新国立劇場
    〒 151-0071
    本町1丁目1番1号 渋谷区 東京都